せたログ

主に自転車の旅について,不定期投稿します

厳冬期北海道一人旅part4

期待していた美幌峠が吹雪で視界ゼロだった3日目.

犬をキタキツネだと勘違いしていた3日目.

何も知らずに入った無料露天風呂で最近人が亡くなっていたことを知ってしまった3日目.

強風と打ち付ける雪の音で殆ど眠れなかった3日目.

そんな怒涛の3日目を経て,また朝がやってきました.

早朝の屈斜路湖

初の雪上キャンプに怯えながらも,なんとか凍死することなく朝を迎えることができました.

半年前からしっかりと下調べをして装備をそろえておいて本当によかった.

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凍りかけたおにぎりを腹に入れ,明るくなるのを待って外へ.

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旅をしていて感じるのは,夜明け前のひとときの静けさと美しさ.

普段早起きが苦手な私は,朝日が昇るのを拝むことなんて滅多にありません.

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寒さに耐えつつ太陽を待ちます.

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ご来光!

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真っ白な雪原をあたたかな色の朝日が照らしてゆく美しさは,お金で買えるものではありません.

少しだけ勇気を出して旅に出れば味わうことができる贅沢.

夜中の寒さ・テントに打ち付ける吹雪・辺りに誰一人いない孤独もあってか,陽が昇った瞬間は涙が出そうでした.

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雪原にはところどころに風がつくった模様が刻まれています.

その模様も突風が吹けば姿を変え...ずっと見ていても飽きません.

深雪に足をとられながら,近くを少し散策しては写真を撮っていました.

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天気は快晴.

今日は気持ちよく走れそうです(寒いけど).

さっさとテントを片付けて荷物を積んで出発.

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屈斜路湖→開陽台

まず目指すは開陽台.

今日もまた凍結した路面を走ります.

国道を走り始めてからずっと,遠くから音がしていましたが振り返れど影はなし.

どこかで雪崩でも起きてるんだろうかと悠長に構えていました.

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

後ろから音が迫ってきます.なんだろう.

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ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

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ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

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除雪車両でした.

決して速度は速くないものの,ちんたらと走る私の自転車より少し速いくらいなので,じわじわと距離が詰まってきます.

この除雪車両,今まで見てきたものと違い,歩道まで一気に雪を剥ぎ取る仕様らしく,逃げ場がない.

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「除雪されちゃう」なんて雪の気持ちを想像しながら,対向車がいなくなったタイミングで反対車線へ.

ギリギリで除雪車両を躱すという,よくわからんスリルを味わいました.

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除雪の効果は抜群.一気に走りやすくなりました.ありがとう除雪車両.

そのまま弟子屈のセコマを目指します.

弟子屈町の中心地を抜けると開陽台まで約60km一切お店がありません.北海道あるあるです.

今日は昼飯含めて大量に買いだします.

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どんなに寒くてもガラナは飲まなければ(病気).

北海道旅の飲み物派閥は,このガラナ派とカツゲン派に分かれるようです.

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なぜか狂ったように買っては食べているチキンたっぷりペペロンチーノ.

チープな味としっかりした鶏肉感が病みつきになります.セコマに寄る機会がある方は是非(何度でも言う).

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雄阿寒岳を背に,緩やかな坂を登ったり下ったり.

よく融雪されている国道で,大型トラックが通過する度に塩化カルシウム混じりの水を頭から被りました.

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寒いわ臭いわ.だけどどうしようもない.

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国道を外れ道道に入ると交通量は激減,起伏も少なくなり走りやすい.

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景色を楽しむ余裕も生まれました.

融雪され鏡のように景色を映し出す道も

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どこまでもまっすぐ続く道も美しい.

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心地よい追い風に押されながらひたすら走り続けました.

アチェンジが効きづらくなってきましたが,追い風に押されているせいかあまり気になりません.

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円筒状の建物を発見.サイロという名前らしい.

穀物を貯蔵する倉庫だそう.赤レンガがおしゃれです.

開陽台到着

坂道をのぼり開陽台に到着する頃には,自転車が凍っていました.

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ギアの変速ができなくなったのは気のせいではなく,外通しのワイヤーが氷柱に埋まったためだったらしい.

自身のタイヤやトラックが跳ねた路面の水を浴び続け,それが走行中に少しずつ凍ったために氷柱ができたと考えられます.

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地平線まで続く根釧台地.知床・斜里の険峻たる山々.彼方に見える雄阿寒岳.目を凝らせば北方領土国後島も見えます.

曇ってしまいましたが,地球の丸さを確かに実感できる場所でした.

夏になればライダーやチャリダーが多そうです.

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写真を頼もうにも人がいないので,展望台のガラスを使って根釧台地を背に記念撮影.

開陽台の展望台は冬季閉店中で中には入れませんでしたが,はちみつソフトが有名だそうなのでいつか夏にリベンジしたいところ.

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冷えてきたので,雪に足を埋めながらも駐車場へ下り,温かい飲み物を求めて自販機へ.

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販 売 中 止

君だけは生きていると信じていたのに...

人が来ないのに飲み物売ってても仕方がないですよね.

絶望しながらも冷たい風から守ってくれそうなトイレの建物へ移動.

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「臭いけど温かい!臭いけど!」

匂いはさておき,今は体がこれ以上冷えなければ良いので鼻をつまみ,買っておいた食料を貪ります.

昼飯をこんなところで食べることになろうとは.

腹を満たしたら開陽台を下り,今日の終着地点・標津を目指します.

標津へ

4方8方何も遮るもののない開陽台はひどく寒く,すっかり体が冷えてしまいましたが,走ればすぐに温まります.

(ちなみに当初は開陽台で野宿する予定でした.あの臭いトイレで寝るのは嫌だし,計画変更して正解.)

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開陽台を標津方面に下るとすぐにジェットコースターのような道があります.

「北19号ミルクロード」という有名な撮影スポットです.

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直線道路が複数の丘を突っ切るこの道路は,道路が急斜面に張り付いているように見えて不思議です.

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実際に走ってみるとそんなことはなく,平坦に見える道が実は下り坂で,目の錯覚だということに気づかされます.

北19号ミルクロードを満喫したらひたすら東へ.

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内陸から一気にオホーツク海へ抜けるべく,ひたすら走り続けます.

大抵の道は路肩が凍結しているので,北海道の車は道路の真ん中を走ります.

国道でなければ交通量はほぼゼロなので問題ないのかもしれません.

道民に倣って前後の安全を確認しつつ,道路の中央を快走しました.

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海が見える前に陽が暮れ,夕闇の中を走ることになりました.

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以前4人で越えた知床連山を背に,今日はもうひと頑張りです.

因縁の地・標津到着

標津市街に到着する頃にはすっかり夜になっていました.

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すぐ左手にはオホーツク海.暗くてよく見えませんが.

標津町に到着です.

海の街といえば海鮮.標津といえば鮭です.

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頑張って悪路を100km近く走ったのです.

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今夜くらい贅沢したっていいでしょう.

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ね!

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勢いよく暖簾をくぐると,そこには小汚い旅人に似つかわしくない高級感漂う和の空間が広がっていました.

美味しい海鮮が食べたいとはいえ場違いな者が店に入ってしまったと立ち尽くす私に,優しい女将さんが「寒かったでしょう.ゆっくり温まっていって」とあたたかいお茶を出してくださいました.沁みる...

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躊躇うことなく「鮭三代漬け丼」を注文.お腹すいていたのもあり,北海道の海鮮をやっと食べれた満足感もあり,格別においしかった.

女将さんと少し話をしたところ,この標津・別海近辺では稀に「四角い太陽」なるものが見れるらしい.

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北海道 感動の瞬間100選

四角い太陽は蜃気楼の一種で,ベストシーズンと言われる厳冬期でも出現率は5%程度らしく,とても珍しい現象なのだそう.

女将さんの知り合いの新聞記者さんが3日ほど前に撮影に成功したそうです.当分は出現しないかな.

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近くの温泉に浸かり,湯上りのミルクコーヒーを飲み干し,寝床を探します.

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2年前に夏の北海道を一周した時に宿泊した因縁のキャンプ場.

ここでキツネに靴を奪われました.

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今となってはいい思い出です.

あの時はまさか真冬のこの地に自転車で戻ってくるなんてゆめにも思っていませんでした.

そんな思い出のキャンプ場は冬季閉鎖.雪が深々と積もっており,中には入れそうにありません.

仕方なく隣の公園へ.

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オホーツク海が目と鼻の先にあり潮風が冷たいので,冬季閉鎖中の公園トイレの陰を除雪して寝床とします.

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テント設営中に公園の明かりが落ちてしまいました.

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夜10時前には-8℃まで冷え込んでいました.

明日朝は-15℃くらいまで冷え込むとの予報.

さすが厳冬期,毎日寒いです.

よく走った4日目を終え,明日は真冬のオホーツク海を満喫します.

つづく.