せたログ

主に自転車の旅について,不定期投稿します

厳冬期北海道一人旅part2

心地の良い目覚め,部屋の窓からは青空が見えます.

厳冬期北海道一人旅2日目の朝.

ここはTさん宅,私は昨日夜に美瑛駅前で拾われたのでした.

美瑛散歩

「こんな青空,ここ1週間見れてないよ.君,ラッキーやね.」

Tさんはそう云って散歩に連れ出してくれました.

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青く澄んだ空と雪景色,雪照らす朝日の柔らかな光.

目の前には見たこともない世界が広がっていました.

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雪の丘,樹氷ダイヤモンドダスト

曇り時々雪の予報だったので,晴れの美瑛が拝めるなんて想像もしていませんでした.

全てが夢の中の出来事のようで,実はまだ目覚めてはいないのではとさえ思いました.

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陽が昇り暖かくなってきたとはいえ-16℃.

手袋を2重にしていても写真を撮れば指先が痛み,ネックウォーマーの内側は吐息で凍る.想像を絶する寒さです.

カイロで定期的に暖をとらなければ,凍傷まっしぐらです.

低温によりミラーレス一眼のバッテリもみるみる減ってゆきます.

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前夜の宿泊予定地だった北西の丘展望公園.

公園全体が雪に埋もれており,中に入れる状態ではありませんでした.

これは公園のトイレも冬季閉鎖するわけだ.

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バスが雪煙を巻き上げながら走り去ってゆきました.

確かに,Tさんが仰っていたとおり自転車が走る路肩は雪煙で真っ白になり見えなくなります.

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やはり現地の方,歩くのがとても上手い.

殊にTさんは13万歩/週歩いているそうで,悪路の下り坂でもひょいひょいと進んでゆきます.

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単線をゆくディーゼル車.

鉄道オタクというわけではありませんが,田舎を走る汽車は地元を思い出すようで,好きです.

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街に戻ってきました.

美瑛では景観保護と豪雪による停電防止のため,電線は地下通しとなっているそうです.

また,除雪もかなり力を入れてやっているとか.

雪の多い地帯でありながら,歩道までちゃんと除雪する町は珍しいといいます.

行く先...?

Tさん宅に帰り着き,私の決意は固まりました.

こんな景色を見てしまったら先に進むしかない.

ここでビビって旅をやめてしまったら,きっと一生後悔します.

「君な,警告しとくけど,その計画やと生きて帰れんと思うで.」

昨日の彼の言葉を反芻します.

リスクをとらなければ見ることができない景色がある.尻込みしている場合ではありません.

極論ですが,人間死ぬべきときは死ぬし,死ぬべきでないときは死ねないのだと思っています.

だからといって命を粗末にして良いわけではありませんが.

この旅に命を懸ける価値を見出し,覚悟を決めました.

無謀と挑戦は違うので,無事旅を終えるために自分の中でルールを作りました.

  • 予報が-20℃を下回る場所,大雪予報の場所では野宿を中止する

  • 車の音が聞こえたら後方確認,聞こえなくても1分に1回は後方確認を行う

  • トラックやバスなど大型車の接近が確認できたら自転車を降り,路肩に寄せて待機する

これで不慮の事故や凍死はおおよそ防げると考えます.

トラックがスリップして突っ込んで来たら,そのときはどうしようもありませんが.

自転車で旅を続ける旨を伝えると,Tさんは2点忠告してくれました.

  • 上川の石北峠(1000m級)は越えるべきではない

  • 根室ー釧路間の汽車はよく止まるので,帰りは都市間バスを使うか1日余裕を持たせた計画に変更すべき

走りながら柔軟に計画変更していく必要がありそうです.

「気を付けて.旭川まで走ってみて無理だと思ったらまた美瑛に帰っておいで.」

彼は笑顔で見送ってくれました.

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美瑛→旭川

恩人から頂いた名刺をしまい,ペダルを回します.

旅が無事に終わったらメールしなければ.

最初少し疑ってしまいすみませんでした.本当にいい方でした.

ここから冒険が始まります.まずは美瑛の丘巡りを経て旭川を目指します.

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初の圧雪路,綺麗に圧雪された路面を走ればスパイクタイヤのメタルが刺さり,スリップすることはない模様.

しかし,少しでも上から雪が積もり轍ができている箇所は足をとられて危険です.何度も転びそうになりながらゆっくりと進みます.

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丘の町・美瑛.市街地を外れるとアップダウンがそれなりにきつい.

ただでさえ抵抗が大きい雪道では,8%程度の坂道でも酷です.

まずは有名なマイルドセブンの丘へ.

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「標識が...埋まっている...!?」

本当の道路は1m程雪を掘り下げた下にあるようです.

滅多に雪の降らない地域で育った私の常識を,いとも簡単に覆してくれる北海道.本当におもしろい.

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この丘をずっと見てみたかった.まさかこんなに晴れた日に見ることができるとは,幸せ者です.

納得いくまで写真を撮ったら次の丘へ.

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丘を越える瞬間は,真っ白な道の先が雲と地面の境界を曖昧にさせます.

まるで雲の上を走っているような感覚に陥ります.

丘の道は交通量も少なく最高でした.

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親子の木.

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セブンスターの木と白樺並木に続く道は特に美しく,外国人のカップルが写真を撮っていました.

ロマンチックな銀世界の写真撮影中に変な奴が通過してしまって本当に申し訳ない.

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セブンスターの木.

冬はただの枯れ木ですが,夏には立派な葉が生い茂るそうです.

美瑛は十分に満喫したので,旭川へ急ぎます.

途中,雪がちらつく時もありましたが,おおむね晴れて絶景の連続でした.

美瑛,絶対にまた来ます.

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-10℃でも犬は元気.

走り出しは手袋2枚重ねでも指先が痛みますが,走っていると体が温まってくるので日中はインナーグローブだけで十分です.

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普段は14kmくらい近所という認識ですが,この雪道を走ることを思うと果てしなく遠い距離.

国道に降りたとたん交通量が激増し,所によっては融雪してはあるものの,路肩の雪は柔らかくて足をとられ走るのに恐怖が伴います.

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「これは石北峠無理だ」

できることなら全行程を自転車で走りたかったのですが,さすがにこの圧雪路と交通量の国道を更に80km,うち半分以上が上り坂という峠付近までを日没までに走りきるのは不可能と判断しました.

また,大雪山系の山々は雲で隠れていたため,吹雪いている可能性が高い.これはもう輪行一択です.

お腹すいたけど旭川駅まで頑張って走ろう.

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北海道,冬眠してしまうお店多すぎませんか.

美瑛の農場カフェもことごとく冬季閉店していました.

土地柄です,仕方がない.潔く諦めましょう.

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旭川に到着する頃には自転車が凍りかけていました.

融雪されていた箇所で自転車が濡れ,そのまま凍結したようです.

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道の駅あさひかわに到着したら梅光軒の旭川ラーメンで暖をとりました.

やっとご当地グルメ回収です.

美幌へ

上川の氷瀑まつりを諦め,輪行の構え.

予定していたスポットはできれば全て巡りたかったけれど,取捨選択は必要.

最東端納沙布岬への到達が第一です.

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電車の時間を気にしながら旭川温泉みなぴりかの湯に浸かる.

入湯料は1200円と高めでしたが,壺湯をはじめ多くの湯がありとても気持ちが良かったです.

できることなら時間を気にせずゆっくりしたかった.

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ワープアイテムに課金.

きっとこの先で使うことはないでしょう.

美幌まで輪行することで石北峠をパスできることに加え,旅程を1日短縮することができます.

帰りの天気が予測できないので,必要なマージンです.

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美幌駅に到着.

「君の名は」の碑がありました.

前前○世が聞こえてきそうですが,残念ながら瀧くんも三葉さんも登場しない古い映画です.

明日越える予定の美幌峠が舞台となったらしいです.

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夕食を調達しにセコマへ.北海道限定(一部例外有)の大好きなコンビニです.

ここは広大な北の大地の中で重要な補給ポイントなので,今後何度もお世話になりそうです.

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駅周辺をぶらぶらしていると立派な氷柱が.

スケールの違いに圧倒されてばかりです.

体が冷えてきたので,さっさと美幌駅へ戻ってきました.

さあ,待ちに待った晩飯の準備を.

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これを

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こうして

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こうじゃ!

カップ麺におにぎりをぶち込む料理ともいえぬ料理.

しかしこれがなかなかに美味い.

見た目はお察しですが,温かいしおいしいし洗い物も出ないので何かと手っ取り早くて楽です.

晩飯を済ませたら寝床の確保をしなければ.

駅構外にタクシーの運ちゃんがいたので少し話をしてみると,美幌駅は無人駅ながら夜通し開いているとの情報が.

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駅は暖房が入っていて暖かいし,無理に-15℃の屋外で野宿することもないので,終電を待ちます.

無人駅泊は初です.邪魔にならないようにしなければ.

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終電が通過し,駅に人影がなくなったので,隅に寝床を確保.

ここは安眠できそうです.

2泊連続屋内という贅沢.こんな筈では.

「生かされている」と実感した厳冬期北海道一人旅2日目.

明日こそ野宿を!

つづく.