「なんでもない週末に旅しよう」
そう思い立ったのが3月の上旬、冬の寒さが和らぎ微かに春の気配を感じる頃だった。
なるべく気負わず気楽に出発したい。それならば九州内だろう。どこにしようか。
なんとなく探しているとこのWebサイトを発見した。
大分県の国東半島にサイクリングルートができたらしい。
過去に九州一周した時にはショートカットして通らなかった国東半島。
よし、桜が咲いたら走りに行こう。
国東半島へ
4月最初の土曜日、午前5時。
佐賀から高速をとばして大分を目指す。
ルーフキャリア初導入で心配はあったが杞憂だった。
たった2時間でスタート地点に到着。近場は楽だ。
今回は自動車輪行のため、スタートとゴールを同じ場所にする必要があった。
あらかじめサーチしていた高台の展望台に車を停め自転車の準備をする。
朝イチから絶景!
由布岳が美しい。早起きは3文の得とはまさにこのこと。
坂を少し下ると国東半島のサイクリングルート「仁王輪道」の半島一周コース(全長約140km)に合流する。
この半島一周コースを2日かけてゆったりと走る計画だ。
早速、仁王像が出迎えてくれた。強そう。
仁王輪道の名は、半島内に300体以上ある石造仁王像にちなんで名づけられたらしい。
2日間で何体くらい見れるだろうか。
山間を抜け、豊後高田市街に入る。
レトロなお店が立ち並ぶ商店街「昭和の町」で見つけた喫茶店、伯剌西爾(ブラジル)珈琲にぶらりと立ち寄り、早めのお昼をとる。
マスターは気さくな方で、西欧の珍しいグラスをいくつも見せてくれた。
真上から見ると万華鏡のように見えるこのグラスは7万円もするらしい。
そのうえ「好きなグラス選んで、ジュース注ぎますから」とまで言ってくれた。
ギターの生演奏に「りんごの唄」をリクエストし昭和の旋律を楽しみながら、ぶどうジュースをいただく。
ああ、美味しい。そして昔祖母がよく歌っていた懐かしの旋律が心地よい。
自転車旅をしているのにこのゆったり感はなんだ...
自分を追い込むような旅ばかりやってると寿命が縮むので、たまにはこういうのやっても罰はあたらないでしょう。
春の赤青黄
海沿いに出る。ここからはシーサイドツーリング。
全身で春を味わうことになる。
青:真珠海岸、消防団屋
黄:粟島公園、菜の花畑
赤:粟島公園、鳥居と桜
国東半島がこんなにカラフルだなんて。侮っていた。
この景色、すべて約1時間の間に目にしたもの。絶景が凝縮されている。
道路の両側に広がる菜の花畑に圧倒される。
時間が経つのも忘れて夢中でシャッターを切っていた。
宿へ
1日に70kmのライトプランなだけに疲れが見える前に目的地に到着。
旅館にチェックインしたけれど、まだ日も高い。
道の駅くにみまで少しだけ足をのばし、大分産のかぼすジュースを楽しむ。
ご当地ジュースは必ず嗜むのがポリシー。
ひとしきりあてもなく近辺をぶらぶらして宿へ戻る。
くず
案内された部屋名にディスられた気がした、つらい。
自転車の旅といえば道の駅にテントが8割くらいのイメージだから、畳の部屋で横になれるだけで幸せすぎて昇天。
しかもまだ明るい時間帯に。贅沢すぎる。
夕食は懐石料理と地酒に舌鼓。
国東半島、いいぞ。(就寝)