せたログ

主に自転車の旅について,不定期投稿します

厳冬期北海道一人旅part3

やっと一人旅らしくなってきた,厳冬期北海道一人旅3日目の朝.

始発の到着より早く起床.

今朝は無人駅にて心地よい目覚めです.

計画

一人旅3日目は美幌駅を出発し,美幌峠を越えて屈斜路湖を目指します.

美幌の街を出ると屈斜路湖までは(峠の道の駅を除いて)一切店舗がないため,食料は大量に買いだしておかなければなりません.吹雪などで立ち往生するリスクもあるので,必要量の1.5倍は購入する予定です.

宿は屈斜路湖湖畔の和琴キャンプ場または砂湯キャンプ場.どちらも天然の無料露天風呂があるそうです.

正直なところどちらでも良いのでその場の気分で決めます.

本日の目玉スポット・美幌峠

f:id:seita_rid:20180501214740j:plain画像出典:アウトバックで行く日本の旅

この画像を見て,絶対にここへ行こうと決めました.昨日,上川の氷瀑を諦めたばかりなので,これ以上スポットの犠牲は増やせません.

日本百名道のうちのひとつらしく,まだ見ぬ絶景に胸が躍ります.雪化粧した峠の風景も綺麗なんだろうなあ.

もしかしたら湖が結氷しているかもしれないし,運が良ければ雲海が拝めるかもしれません.

期待の絶景は拝めるのか!?

3日目スタートです.

美幌峠へ

朝の最低気温は-15℃.屋外で湯を沸かし優雅に朝の珈琲を.

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夜中,空に輝いていた月は何処へやら.天気は曇り.相変わらず指先が冷えて痛いです.

駅でひと息ついたらセコマで朝食を調達.

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セコマのパスタは安いし美味いしバリエーション豊富で食べ飽きず,最高です.

数あるパスタの中でもこの「チキンたっぷりペペロンチーノ」は私の好みの味付けだったため,このあとセコマに立ち寄る度に狂ったように買っては食べることになります.

カロリーを十分に確保したら大量におにぎりを買い出しサイドバッグに詰めて,美幌峠を目指します.

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しっかり曇って参りました.

それでも,峠方面に少しだけ青空(?)が残っています.

雲の隙間に期待を抱き,ペダルを回します.

美幌峠へと続く国道は融雪されており,美瑛や旭川といった豪雪地帯のように雪が路面を覆っているわけではありません.

しかし,路肩は融雪後の雪が再び凍ったようなカチコチの氷に覆われて悪路.これはこれで凄く走りづらい.

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悪路に苦しみ足を止めると,道路左手には純白の雪原が広がっていました.

道路状況が悪いからと下ばかり向いて走っていたら,美しい景色を見逃していました.立ち止まらないと気づけないものもある.

悪路を転ばぬよう走りながらも景色を楽しめるゆとりが欲しいものです.

走ったり立ち止まったりしながら,少しずつ標高を稼いでゆきます.

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次第に路面を占める雪の面積が増えてゆき,いつの間にかアイスバーンです.

道端にキツネらしき生き物が...!!

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ただの犬でした.

紛らわしい奴め.

仲間とゆく今までの旅では,こんなくだらないことも休憩の度に話題の種にできましたが,今は一人.

誰かに話したい小さなことも,自分の中に溜まってゆきます.こんな何ともいえぬ淋しさを抱えることができるのも一人旅の味わい深さかもしれません.

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ぼた雪がちらつき始めました.水分を多く含んだ雪はタイヤにへばりつき,スパイクが埋もれてしまいます.

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加えて,日が高くなるにつれトラックが頻繁に通過するようになり,危険性は大幅アップ.

トラックが接近する度に自転車を停めて路肩に寄せ,の繰り返し.

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峠が近づくにつれて視界はどんどん悪くなってゆきます.

風も強まり,気付いた時には吹雪.

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笑えてくるほどに視界がない.

数十メートル先は全く見えません.

昼飯を食べている間に吹雪が止むのを祈り,道の駅ぐるっとパノラマ美幌峠にて休憩.

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山道で失ったカロリーを摩周豚丼で補給.

大盛900円とやや高めでしたが,名物だけあって美味でした.

さて,美幌峠の景色はどうでしょうか.

先ほどより多少は視界が良好になった気がします

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ちょっぴり過酷な雪道を歩き登ったらそこには...

f:id:seita_rid:20180502232222j:plain画像出典:アウトバックで行く日本の旅

↓現実

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うん.そうだよね.

わかってましたとも.おかしいな,涙が.

初日は初対面のTさんに泊めていただき凍死を免れ,2日目は晴れの美瑛を見てしまったのです.

これ以上何を望むのでしょう.

美幌峠の絶景なんて見れようものなら,罰があたります.そりゃあもう,下り坂でスリップして即死です.

運要素のバランスがとれたので,当分は死なずに済みそうです.よかった.ありがとう美幌峠.

慎重に下山します.

無料天然露天風呂 in 屈斜路湖

ちなみに先ほどの美幌峠,道の駅の方に伺ったところ,今朝は見事な雲海が拝めたそうです.

悔しいので,次に北海道へ来る時にリベンジすることを誓いました.

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自転車に跨ると吹雪は激しさを増し,視界は最悪.

しかし,悪路もそう長くは続かない.

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下り坂はあっという間に終わり,雪も止みました.

麓まで下ると陽の光が差し,青空も見え隠れする始末.

それでも峠付近にはずっと雲がかかっているのが見えました.

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和琴半島の無料露天風呂へ.

美幌峠にて昼食をとって休憩している間にキャンプ場へ電話を入れましたが,厳冬期は受付を行っていないのだそう.普通ならこんな寒い時にキャンプする莫迦は居ないので自然なことです.

寝床は後回しに,とりあえず温泉で疲れを癒します.

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この天然露天風呂,無料で入浴できるのですが,入浴するには屋外と言っても過言ではない吹き曝しの更衣室で全裸になる必要があり,ややハードル高めです.

氷点下の中,全裸...否,数秒寒さに耐えれば温かい湯が待っています.

迷うことはない.

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気合で服を脱ぎ捨て,湯船へ直行.

屈斜路湖と直接繋がっているため,シャンプーや石鹸の使用はNGです.

かなり熱めと聞いていたけれど,丁度いい湯加減.

外側が岩なのは普通の露天風呂と変わりませんが,底は砂利のような砂のような感触がして,天然の風呂なのだということを強く印象づけてくれます.

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雪と愛車を眺めながら露天風呂に浸かる.この上ない贅沢です.

30分ほど湯に浸かり,寒さから上がり渋っていると,お爺さんがやってきました.

「こりゃあおめえ,ぬるいやろう」

「こんなんじゃあったまらないべ」と呟きながら彼はさっさと服を脱ぎ,湯に入ってきました.

この天然温泉はお湯を屈斜路湖に流して水量を減らすことで,湯加減を調整するそうです.

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ある程度お湯を減らすと地面から熱い湯が沸いてきました.なんとも不思議な温泉.底が砂や砂利だった理由がわかりました.

お爺さんはこの天然温泉にまつわる話を聞かせてくれました.

  • とてもいい湯なので,車で1時間以上かけて入りにくる人もいること

  • この湯のために近くに引っ越した人もいること

  • のぼせて動けなくなり,ここで4名ほど溺死していること

最後のは聞きたくなかったなあ...

「そういやワシも先月のぼせて動けなくなってな.偶然風呂に来てたジジ友に引っ張り上げてもらったんじゃ.」

いやいや,数名亡くなってるんだから学びなさいよ.

1時間ほど長風呂と歓談ののち,着替えの袋がカラスにつつかれ始めたので湯を上がりました.

その後次々と地元のお爺さんお婆さん達がやってきて賑やかになり,老人会よろしくなってきました.

(この人たちがこの温泉を守っているんだなあ)

そんなことを考えていると,彼らはシャンプー禁止の看板の隣でシャンプーを出して頭を洗い始めました.

守ってるのか壊してるのか分からんな.

そっとその場を立ち去りました.

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屈斜路湖が全面結氷する中,露天風呂付近だけは水が凍らずに残っているため白鳥も集まって湯治しているようでした.

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夢中になって白鳥を撮影していると,外国人観光客の男性から話しかけられました.

"Have you been running with this bicycle? Great!"

無いに等しい英語力を駆使してなんとか口からアルファベットを絞りだし,これまでの道のりとこれからゆく先を伝えました.

身振り手振り交えて伝えようとすれば,何とかして伝わるものです.

彼は最後に "Good Luck" と告げ去ってゆきました.

雪上キャンプ

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全面結氷した屈斜路湖は広大で,その奥に横たわる山々も大きすぎて,この雪原が山の麓までずっと続いているという事実に実感が沸かない不思議な感覚.

湖のほとりを自転車押し歩き,野営できそうな場所を見つけます.

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ここをキャンプ地とする.

某人気北海道ローカル番組の名言が聞こえてきそうです.

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しっくりきますね.

自己満足したところで晩飯の準備を.

水を持ち歩くと重いし凍るので,ペットボトルは買っていません.雪を融かしていつものラーメン飯を作ります.

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暗くなってきましたが,ドッペルギャンガー製のランタンがそれなりに明るいので心強いです.

夕食の絵面は昨日と同様,カップ麺におにぎりを突っ込んだだけのものなので割愛します.

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食事が済んだらラジオを聞きながら日記を書きます.

スマホをいじりたいところですが,モバイルバッテリーの容量には限りがあるし,電気は優先的にカメラ類に回したいので我慢します.

(ちなみに本シリーズは,この日記を読み直しながら綴っています.)

陽が沈み暫く経つと,寒さはいっそう厳しくなってきました.

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シュラフに包まり,いつでも眠れる体勢に.

-20℃対応の中華ダウンシュラフだけでは心もとなかったので,シュラフカバーとしてエマージェンシーシートで覆っています.

氷点下での充電はよろしくないと小耳に挟んだので,カメラバッテリー類の充電はあたたかいシュラフ内で行います.

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就寝時の装備は,日中の装備から防水アウターを取り除き,代わりにダウンジャケットを着こんだもの.

ネックウォーマーは二重,頭には裏起毛のサイクリングキャップで防寒します.

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シングルウォールテントが結露(凍)しはじめたところで就寝です.

満天の星空

夜中はそれなりに吹雪いて,雪がテントに激しく打ちつける轟音で何度も目を覚ましました.

テントに雪がどんどん積もってゆくし,強風でポールが折れそうなくらいにひどく揺れるし,辺りには誰も居ないし,このまま人知れず凍死してしまうのではなかろうかという恐怖に苛まれる深夜.

かといって吹雪の中,下手に外へ出るのは危険なので,このままじっと耐えるほかありません.

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テントの中でも-10℃.シュラフ+エマージェンシーシートの偉大さを実感しました.

午前4時.

辺りが静まり返ったので,恐る恐る外に出てみると

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ずっと空を覆っていたはずの雲はひとつ残らず消え,数え切れないほどの星が煌々とかがやいていました.

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自転車を突き刺すだけで自立するほどに,雪は深くなっていました.

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吸い込まれそうな星空.

ここまで寒くなかったならば,ずっと見ていたかった.

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運よく流星を2つ捉えました.(写真上部左右)

初の雪上キャンプとなった3日目.

目玉スポット・美幌峠は残念な結果に終わりましたが,温泉は気持ちが良かったし星空は綺麗だったし,念願の雪上キャンプも叶って満足な1日でした.

明日はどんな1日になるのか,どんな道を走るのか,楽しみです.

つづく.