せたログ

主に自転車の旅について,不定期投稿します

年末年始紀伊半島一人旅part4

2019年1月1日午前1時半。

シュラフの中で目を覚ました時には

既に新しい一年が始まっていた。

標高1300m、テント内は-5℃。

辺りは真っ暗、携行していたランタンが夜闇をうっすらと照らしてくれる。

f:id:seita_rid:20190213223832j:plain

夕方に吹き荒れていた風は止み、空には星が煌めいていた。

誰もいない、電波も入らない深夜の峠で、ひっそりと活動を始めた。

夜の雪山へ

寒さで点火してくれないガス缶をシュラフ懐炉で必死に温めて湯を沸かし、食事をとった。

冬季閉鎖中のトイレ小屋に張っていたテントを畳み

アイゼンを装着してザックを背負って出発したのは、午前3時半頃だった。

目指すは釈迦ヶ岳頂上。

お釈迦様の像と美しいご来光が待っている筈。多分。きっと。

f:id:seita_rid:20190213225459j:plain

夜の雪山は怖い。

単純に夜山に一人というのが心細いというのはあるが

それ以上に道迷いや滑落による遭難を心配していた。

それと、恐らく冬眠中で出てこないとは思うけれど熊もちょっと怖かった。

f:id:seita_rid:20190213225514j:plain

ある程度トレースがついていたのでそれを辿って登った。

風雪でトレースが消えている箇所は、こまめに来た道を戻って確認した。

電波は一切入らなかったが、予め入れておいたオフラインマップとスマホGPS

自身の位置がルート上にあることを確認できるYAMAPアプリには助けられた。

f:id:seita_rid:20190213225527j:plain

ピッケルは携行していなかったが、急坂がそれほどない道だったのでストックで十分事足りた。

f:id:seita_rid:20190213231426j:plain

東からのぼりはじめた月の方角をたよりに歩き続ける。

稜線に出ると、木々はまばらになり空が広くなった。

f:id:seita_rid:20190213231435j:plain

空には星がきらきらと輝き、時折流星も見えた。

足元の雪もヘッドライトに照らされてきらきらと光っていた。

f:id:seita_rid:20190213232238j:plain

朝が近づくにつれて気温が下がってゆく。

温度計は-10℃を指していた。

ご来光

午前6時半、空が紅くなってきた。

明るくなってくると随分と安心感が違う。

頂上付近の斜面は一段と雪を蓄えている。

f:id:seita_rid:20190213232907j:plain

日の出の時刻10分前にお釈迦様が見えた。

なんとか間に合ったらしい。

f:id:seita_rid:20190213232911j:plain

元旦の誰も居ない静かな山頂を独り占めできる贅沢。

f:id:seita_rid:20190213234134j:plain

誰もやってこないような時間の誰もやってこないような場所。

人が多い場所は落ち着かなくて嫌いだから

こんな山奥に逃げてきたのかもしれない。

などと考えながら、朝日が昇るのを待った。

世界中から人がいなくなったのではと錯覚してしまうほどに

孤独で静かで幸せな時間が過ぎてゆく。

f:id:seita_rid:20190213234248j:plain

あけましておめでとうございます。

釈迦ヶ岳山頂

快晴の釈迦ヶ岳山頂、非常に景色がいい。

一等三角点として登録されているだけはある。

f:id:seita_rid:20190213234833j:plain

朝日を背に、釈迦ヶ岳の大きな影が紀伊山地の山々に覆いかぶさっていた。

よくも自転車と自分の脚だけで大阪からここまで登ってきたものだと思う。

標高1800mと他大多数の山々より頭一つ高いこの山頂からは紀伊山地が一望できる。

f:id:seita_rid:20190213235435j:plain

近畿地方最高峰の八経ヶ岳が目の前に。

あちら側はもっと雪深そう。

日本百名山に登録されており、山体を見て登りたくなってしまったが、ぐっと堪えて写真だけ撮っておく。

登るのはまたの機会に。

f:id:seita_rid:20190213235440j:plain

ここは世界遺産大峯奥駈道の一部。

釈迦如来像の周りに散りばめられたお札たちが

ここが修験道の修行場であったことを彷彿させる。

f:id:seita_rid:20190213235446j:plain

釈迦如来像にはエビのしっぽがついていた。

この大きな銅像大正13年、鬼マサという一人の強力によって担ぎ上げられたという。

鬼マサ、強すぎる。名前負けしていない。

f:id:seita_rid:20190213234646j:plain

写真はたくさん撮れたし、体も冷え始めたので下山を始めることにした。

つづく。