せたログ

主に自転車の旅について,不定期投稿します

年末年始紀伊半島一人旅part1

プロローグ

夏の天草プチ旅を終えてからすぐに年末年始の有給申請をし

博多-新大阪間の新幹線切符をとった。

サラリーマンには貴重な9連休、どこかへ行かない手はなかった。

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こうやってサイドバッグに荷物を詰めて

輪行袋に自転車を入れて列車を待つわくわくを

まだ味わうことができている事実に喜びを感じていた。

学生時代には、自転車で旅をするのだと話すと

「今しかできないことだから、精一杯楽しんで。」

と大人たちは言った。

そんな言葉に揉まれ、自転車で中長期の旅をするのも

サイクリング部引退を間近に控えた大学3年夏の乗鞍・富士山ツアーで最後だろうと

勝手に思っていたところがあった。

blogs.yahoo.co.jp

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しかし大学4年の冬、その予想に反して心は自転車旅に惹きつけられ

体は勝手に動いていた。

冬の北海道を走りたいという衝動に駆られて

1週間ひとりで真っ白な北の大地を旅した。

seita.hatenablog.jp

「今しかできないこと」って何だろうか。

仕事を始めたら、自転車の旅はできなくなるのだろうか。

学生時代はよくそんなことを考えていた。

こうやって大荷物を抱えて新幹線のホームに立っている自分が、その問いへの答えだった。

大阪へ

12月29日夜、列車に運ばれて大阪へやってきた。

学生の頃と変わったことといえば、長期休暇をとれる時期に限りがあることと

ひとりで旅をするようになったこと

青春18きっぷが新幹線の乗車券になったことくらいだろうか。

川の向こうの摩天楼が美しかった。

明日からの旅程に胸を躍らせながら、天王寺に住む弟のアパートで一夜を過ごした。

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つづく。

灼熱の天草一人旅part2

サウナ状態のテント内環境に苦しめられ、寝付くまでに3-4時間。

飲んだ水がその場で汗腺から放出されていくような感覚を味わった夜だった。

干しダコにでもなるんじゃないかと思った。

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昨日の干しダコ

苓北へ

なんとか干からびることなく下田温泉の路肩のアスファルトで夜を明かした。

今日こそは早朝に出発。

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テントの撤収を済ませて午前6時、天草灘を望む海岸線を快走する。

遠くに苓北発電所のシルエットが見える。

積載する荷物を減らしたかったために火器を持ってきておらず、自炊できないのでコンビニが見つかるまで朝食はお預け。

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コンビニを見つける前に富岡城へ到着してしまった。

ここ富岡城は、苓北の北西に位置する富岡半島の丘のてっぺんに建てられた城であり、島原・天草一揆の戦場となった場所だ。

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ビジターセンターは開館前だったので、景色を眺めては写真を撮っていた。

富岡半島と天草下島を繋ぐ砂州が美しい。

観光も済ませたので富岡半島を抜け、やっと見つけたコンビニで朝食を購入し、海岸線を時計回りに走り続ける。

道端の”おっぱい”

突然ですが、皆さんおっぱいは好きですか?

私は大好きです。

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海岸線を快走しているとき、”それ”は視界に飛び込んできた。

街灯の明かりにつられる夏の虫の如く、足が勝手にそこへと向かっていた。

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一億年もの歳月を経てできたおっぱい岩なのか、これは趣深い...

伝承では、もともと地中深くにあったものが雲仙の噴火により飛来したとされている。

ここには大きなおっぱい岩と、更に小さなおっぱい岩もあるそう。

様々なニーズにお応えしてくれる天草の懐の深さ、侮れない(黙れ)。

さて、それでは現物を拝んでみるとしましょうか。

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見えない。目を凝らしても、立ち位置を変えても見えない...

このおっぱい岩、干潮時でなければ海中に姿を隠してしまうらしい。

無念、否。

簡単に拝めてしまうのであれば、有難みが薄れるというもの。これでいい。

さらばおっぱい岩、また逢う日まで

鬼池

泣く泣くおっぱい岩に別れを告げ、海岸を走り続ける。

だんだんと空が曇ってきた。

太陽が隠れて景色が霞み、朝なのに不気味な雰囲気が漂っている。

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五和町鬼池からは対岸の島原半島・早崎が目の前に見える。

その距離約4km。昭和の時代からここに橋を架ける構想があるが、とうとう実現しないまま平成も終わるようだ。

鬼池からはフェリーを使えば30分程度で島原半島に渡ることができる。

おどみゃ 島原の おどみゃ 島原の  梨の木 育ちよ  何の梨やら 何の梨やら  色気なしばよ しょうかいな  はよ寝ろ 泣かんで オロロンバイ  鬼の池ん 久助どんの 連れんこらるばい  (島原の子守唄)

その昔、島原や天草の女子供がここ鬼池久助どんに連れてこられ、外国人によって人身売買されていた。

この非人道的な人身売買は、政府がキリシタン弾圧に踏み切った原因のひとつとされている。

どんよりと曇った空の下、湿っぽい歴史の残る場所を走った。

オリーブと海鮮

霞はだんだんと晴れ、午後にかけて天気は良くなっていった。

瀬戸内海小豆島と気候が似ているという島原・天草。

オリーブ園があるとのことだったので、寄り道してみた。

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有明海は海鮮が美味しい。

対岸の島原半島が故郷なので、それはよくわかっていた。

走り続けてお腹も減ったので海鮮を食べることにした。

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刺身定食を注文した。

刺身はぷりぷりで、あさりの味噌汁も絶品だった。

隣のテーブルで「あさりの味噌汁定食」みたいな巨大味噌汁定食を食べている方がいた。

インパクト抜群で「おいしい」という声もあがっていたので、今度行ったときはそっちも食べてみよう。

ただいま上島

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上島の有明町へ戻ってきた。

猛暑のため、上島は補給ポイントの少ない南側を回らず、来た道を戻ることにした。

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タコと多幸をかけているらしい。うまい。

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道の駅有明の目の前では祭りが開催されていた。

ビーチには巨大なサンドアートが10ほどずらっと並んでいて壮観だった。

夜には花火があがるらしいけれど、のんびりしていられないのでペダルを回す。

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ずっと地図とにらめっこしながら走るのは嫌いなので「こっちいけるかも」という道を走ってみる。

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残念ながら行き止まり。

だけど涼しい木陰があったのでちょっと休憩。

三角港へ(withビッグスクーター

この日、友人がバイクでやってくるとのことだったので、どのあたりで合流できるだろうかとぼんやり考えながら走っていた。

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天草5橋の2号橋あたりで無事合流。

午後3時、日は傾いてきたが今日も猛暑日、暑すぎるので喫茶店で避暑。

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冷たいレモンケーキとアイスコーヒーが火照った体に沁みる...

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ノープランだったけれど、世界遺産三角西港までの片道約15kmを一緒に走ることにした。

一緒にとはいえ、バイクはめちゃくちゃ速いので先行してもらい、自転車の私は必死で追いつこうとがんばるスタイルとなった。

だいぶ待ってもらった気がする。

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三角西港ではふわふわのかき氷を。

世界遺産そっちのけで冷たいものを体が求めていた。

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夏はあかん

夕暮れの三角西港で友人とバイバイし、車を停めている道の駅へ引き返す。

2泊3日の旅を予定していたが、走っている日中も野宿する夜中も暑さで体力が削られ続けていたので2日目のうちに帰宅することにした。

今度夏に走るならば、ちゃんと民宿なり旅館なりとろう。

そして暑さがましな午前中に走って、午後はどこか涼しい場所で昼寝でもしていよう。

猛暑に殴打され、そんなことを考えていた帰り道だった。

とはいえ天草は景色もよかったし、飯も美味しかった。

上島の南半分と下島の牛深は行けなかったので、今度は暑くない時期にお邪魔しよう。

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次は冬に走ろう(両極端)。

灼熱の天草一人旅part1

目が覚めた。7月14日午前6時半。

本来ならば、午前3時から走らせた車が上天草に到着し、自転車に乗り換えている筈の時間。

それなのにどうして天井を見ているのだろう。

今年の夏は暑い。

準備万端だけど、暑いなか走るのはいやだなあ...

三連休プチ旅

4月から新社会人として働き始めて早数か月。

仕事終わりに2月の北海道旅の写真をRAW現像し記事を書き...という生活を送ってきた。

つまりほぼ毎週のようにセルフ旅テロを食らっていたということになる。

久しぶりの三連休、出かけないわけにはいかない。

キリシタン遺跡が世界遺産として登録された天草を走りたい。

いざ、天草上島・下島一周の旅へ。

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天草上陸!

天草五橋のうち最初の橋を車で渡り、上天草に上陸したのは午前10時半。

既に気温は35℃近い。走る前から行く先が不安になってくる。

荷台に積んだ自転車をおろしてパッキング。時間がないので息つく暇もなく出発した。

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2~5号橋をさくっとわたり上島へ。

天草五橋は交通量が多く狭い路肩を走ることはできなかったので、車道より一段高い歩道を徐行。

1966年に有料道路としての五橋が完成して僅か9年で償還完了し無料開放されただけはある、車がめちゃくちゃ多い。

橋の歩道は橋の終わりの部分に突然大きな段差が現れ、肝を冷やした。(危うく宙を舞うところだった)

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ステンドグラスの天草四郎がお出迎え。

いつの間にかお昼時、空腹に比例して気温もぐんぐん上がってゆく。

折角の天草諸島を目に焼き付けるべく、名勝「高舞登山」へ。

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藪蚊の舞う急坂を越えた先には駐車場。

ここからは歩いて登るらしい。

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多少ガスっているけれど、絶景。

さっき走ってきた橋たちが遠くに見える。

空気が澄んでいれば奥に雲仙岳も見えたらしいけれど、多くは望むまい。

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空腹もピークなのでそそくさと下山。

日陰にひっそりと生き残りの紫陽花が咲いていた。

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海沿いを快走。

水が猛スピードで減ってゆく。

暑さから逃げるように道路沿いにあった食堂「よりみち」に寄り道することにした。

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地元住民のローカルな会話が耳に入ってくる店内。

タコが有名とのことだったので「揚げタコ丼」を注文した。

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暑さにバテたせいで油モノはきつかったけれど、それ以上に美味しかった。

サーバーごと出して下さっていた塩入り麦茶が1.5Lほどあったが、飲み干してしまった。

予想以上に水分が足りていなかったらしい。


「よりみち」から5kmほど走ったところの道の駅ありあけで「リップルジェラート」を注文。

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店員のおばちゃん、ジェラートを乗せ損じて手の甲に落とす。

「ぴっ(手の甲に落ちた塊を乗せなおす)。あ、見た?」

しっかり見てしまったけれど、おばちゃんの笑顔に免じて思わぬサービスを受け取ることにした。

ジェラートの上の塊は、そういうことです。

平和な時間が流れてゆく。

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猛暑とのたたかい

天草最南端の牛深まで行こうと思っていたが全く足が進まない。

ショートカットして下島の中央を進み、日のあるうちに一番の目的地である「崎津集落」を目指すことにした。

水を被り、水を飲み、影を見つけて休み、水を飲み。

延々とコンビニすらない道を走る。

連日の猛暑日の例に漏れず、今日も猛暑日

高温注意報が発令され、原則屋外での運動は禁止とのことだったが、立ち止まったところで涼しくなるわけでもないし、涼しいお店なんてどこにもないし、鉄道も無いため輪行に逃げることすらできない。

自転車は立ち止まった途端に汗がどっと噴き出してくる。走っている方がまだ涼しい。

進むことしかできない。

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下島中央、アスファルトの上、40℃。

意識が朦朧としていて、リップルアイス~崎津集落到着までどんな道を走ったかあまり覚えていない。

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涼しい早朝のうちに距離を稼ぎ、灼熱の午後は涼しい場所を見つけて優雅に過ごすつもりだったのに...

畜生、どうしてこんなことに。(※寝坊したせいです)

崎津集落

陽が傾いてくると多少は走りやすくなった。

海岸線のカーブの先に、ずっと見たかった景色があった。

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夕暮れの崎津集落に到着。

2018年6月30日に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界遺産登録された。

世界遺産登録されたてほやほや2週間、故に「崎津集落世界遺産に」といった看板も多く目にした。もうなっとるがな、世界遺産

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夕日に照らされる崎津天主堂の十字架。

美しい建築だ。

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集落の70%が隠れキリシタンだと発覚した「天草崩れ」の舞台である「崎津諏訪神社」。

弾圧下でも神社にマリア像を忍ばせて「アーメンデウス」と唱え続けていたという。

当時の隠れキリシタンたちは、どうして命を懸けてまで信仰を貫いたのだろう。

神社と教会が共存する不思議な空間がそこにはあった。

天草の夕日

夕日が美しいことで有名な天草。

幸いしっかり晴れている(日中はすごく暑かった)ので、夕日はよく見えるはず。

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崎津の海上マリア像にさよならして、下田温泉へと急ぐ。

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大江天主堂も拝んでいきたかったが、日が沈んでしまうのでパス。

遠目に眺めて写真を一枚だけ。


気温が下がると格段に走りやすくなる。

天草夕日八景の「下田の夕日」を目指して、ペダルを漕ぐ足に力が入る。

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息をのむような絶景に、今日の疲れが吹き飛んだ(気がしました)。

朝寝坊したことも、猛暑に干からびたことも、どうでもいいじゃないか。

ここがパンフレットに載っていた「下田の夕日」のビューポイントではないこともそんな小さなこと、どうでもいいじゃないか。(間に合いませんでした)

ゆっくりと沈んでゆく夕日を眺めながら、いつの間にかどこからともなく現れた蚊に足を刺されながら時間は過ぎていった。

夜と蟹

夕暮れに本日の終着地「下田温泉」到着。

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ここは700年前に一羽の白鷺が傷を癒していたことから発見された温泉なのだそう。

また、源泉かけ流しの下田温泉は、沸かさず・薄めず・循環せずという純粋な天然温泉だとか。

温泉で疲れを癒し、まだ開いている食事処はありませんかと尋ねたが、居酒屋くらいしか開いていないという。

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近辺で唯一開いていた「とと源」という居酒屋に救われたが、熱中症気味なのでお酒は控えることに。

ご当地ものを味わうこともなく、ただただ水分とカロリーを欲していた体に麦茶とカレーライス・唐揚げを注ぎ込むという始末。

今度訪れるときには、ちゃんとお酒と海鮮を味わいたい。

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温泉の受付さんが困った顔で「野宿でしたら...」と教えてくださった場所がこちら。

道路沿いの展望所の駐車場みたいな場所。

真夏の夜にアスファルトの上で野宿です。

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辺りを蟹とフナムシが闊歩していた。

テント内はアスファルトの余熱で蒸れてサウナ状態。地獄。

それに、蟹やフナムシがテントにぶつかって「カサカサ」「カサカサ」と音を立てる。地獄。

滝のように流れ続ける汗で、枕代わりのタオルは絞れてしまうくらいに水分を含んでいた。

無事に朝を迎えることができるのか。

つづく。

厳冬期北海道一人旅おまけ

厳冬期北海道一人旅を無事に終えて九州に帰ってきました.

本編全7回の記事はこちらです.

seita.hatenablog.jp

本記事では旅のおまけとして

  • 装備

  • 自転車

  • 厳冬期の北海道,予想と実際

の3点についてお役立ち情報を記してみます.(役立つ人いるのかなあ...)

装備

この旅で最も神経を遣ったのが装備の選定です.

私はこれまでまともに氷点下の世界を体感したことがなく,一歩間違えれば命に関わる服装やシュラフも何を選べばいいのか全くわからない,ゼロからのスタートでした.

いままで春・夏しかツーリングしてこなかったツケですね(?)

真冬の北海道を一人旅したことのある莫迦人が周りに居なかったので,気軽に人に訊いてどうにかなるわけでもなく.

夜な夜な検索して辿り着いたのは「雪山登山」というキーワードでした.

極寒地で汗をかく雪山登山.どうやらこの自転車旅とシチュエーションが似ているようです.

レイヤリング

雪山登山で基本となる「レイヤリング」

これは,「ベースレイヤー」「ミドルレイヤー」「アウターレイヤー」と3層以上の構成にし,天候や運動量に応じて着脱することで温度調節を行うというものです.

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ベースには吸湿拡散・保温性能に優れたメリノウールを.

ミドルには保温・通気性能に優れたフリースとダウンを.

アウターには防風・防水・撥水・透湿性能に優れたハードシェルを.

体温が上がる走行中はダウンを脱ぎ,就寝時はシュラフに熱を伝えるためにハードシェルを脱ぐなど,臨機応変に着脱を繰り返しました.

ちなみに発汗量の多い手足を守るインナーグローブ・靴下もメリノウールです.

手足もそれぞれインナーの上にはアウターとして,防水・防風・透湿性能のあるグローブやスノーシューズを装備していました.

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足先は凍傷を防ぐため,常にカイロを貼りつけ.

指にはそんなスペースがないため,痛みが限界を迎えるたびにポケットに忍ばせたカイロで温めていました.

あとはサイクリングキャップで頭皮の冷えを抑えたり,ネックウォーマーで首元からの冷えを抑えたり.

寒さに弱い耳はイヤーマフで守りました.

装備一覧

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携行した装備は以下です.

  • カイロ(高温貼らない・貼る・足貼る)

  • シュラフ

  • エアマット

  • クローズドセルマット

  • エマージェンシーシート(シュラフカバー状・シート状)

  • シングルウォールシェルター(本体+ポール)

  • 簡易トイレ

  • トイレットペーパー・ティッシュ

  • 歯ブラシ・シェービング類

  • リップクリーム(UVカット

  • ウィスキー

  • 水筒・コップ

  • コッヘル・バーナー

  • コーヒーセット

  • 着替え3日分

  • グローブ(2レイヤー)

  • ネックウォーマー(2レイヤー)

  • サイクリングキャップ(2レイヤー)

  • イヤーマフ

  • ツーリングマップル

  • 小説

  • 日記帳・メモ帳・筆記用具

  • ミラーレス一眼(+レンズ4本)

  • アクションカム×2

  • 三脚・セルカ棒

  • モバイルバッテリ×2(計25000mAh)

  • 各種バッテリ,ケーブル類

  • ラジオ

  • コンパクトランタン

  • 温度計・コンパス

  • 財布

  • アイウェア

  • ヘルメット

  • ライト

  • GPSサイコン

  • パンク修理キット

  • 携帯ポンプ

  • マルチツール

  • 輪行袋

これらの中からいくつかピックアップして説明します.

寝床周り

ここはかなり気を遣いました.寝てる間に凍死したくはなかったので.

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まずはテント.アライのライズ1(シングルウォール)です.

ダブルウォールのテントに追加でスノーフライを購入するのが最も取り回しがしやすく,快適に過ごせそうでした.

しかしかなり高くつく.

金銭的に限りがある旅だったため,防風・保温性能はひとまず置いておき,とりあえず吹雪くらいは凌げる性能のシェルターを選びました.

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シングルウォール故に通気性能は絶望的,とんでもなく結露します.

結露するとはいってもテント内が氷点下のため,水滴がしたたることもなく,管理は楽でした.

次にシュラフ

体温の保持はこのシュラフにかかっています.

ここはしっかりお金をかけるべきところ.

求めるスペックとしてはコンフォート温度が-20℃あたり,リミット温度が-30℃くらいのもの.

mont-bell・ISUKA・NANGA「5万円くらいでどうよ」

安心と信頼のメーカーが提供する厳冬期シュラフは非常に高価です.

自転車買っちゃったしな...それはちょっと厳しい...

唸りながらAmazonを探し回っているとLMRというメーカーを発見.

中華ギアですが,求めるスペックのものが9000円程度で入手できました.

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信頼のメーカーではなかったので,念のためシュラフカバーとしてSOLのエマージェンシーシートを被せて使用.

-15℃の夜,寒くなかったといえば嘘になりますが,衣類も重ね着してなんとか凍死は免れました.

伸縮性に難ありでしたが粗悪品ということもなく,非常にコスパの良い寝袋でした.

最後に床.

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「空気の層を作れ」

レイヤリングについて調べていた時から,冬の装備の基本として何度もこの文字を目にしました.

ダウンシュラフはふかふかのダウンに空気を纏って体温を守りますが,背中のダウンは体重で潰れてしまうため性能を発揮できなくなります.

底冷えを防ぐべく,クローズドセルとエアマットが成す2重の空気の層によって,地面からの冷気も軽減させています.

ウィスキー

「そんなに酒が好きか!?」と思った方.その通りです.

が,ウィスキーを持って行ったのにはちゃんと理由があります.

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山岳救助犬が雪山で遭難者を救助する時に首からブランデーをぶら下げているそう.

アルコールは瞬時に体を温める効果があるので,低体温で危険な状態になった場合に飲もうと携行していました.

(※日中は自転車に乗るため飲んでいません.ストップ飲酒運転.)

簡易トイレ

見落としがちだったこの項目.

当初野宿予定していた場所のトイレはことごとく冬季閉鎖

(冬季,屋外のトイレは水が凍結してしまうため,運用するには高コストの暖房代が必要となる)

ヒトにとって食べることと同じくらいに出すことは大切です.

上手く日中にコンビニ等のトイレを活用したため結果として使う機会はありませんでしたが,冬の北海道自転車民にとっては緊急時用として不可欠です.

自転車

「雪道を走る時に困るのは何だろう」

検索結果と雪道の想像から,自転車の選定の際には「タイヤ」と「ブレーキ」の2点に着目しました.

タイヤ(太さとスパイク)

細いタイヤでは狭い面積に重量がかかるため,車輪が雪に埋まってしまいます.

雪道を快適に走るにはなるべく太いタイヤを.

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また,路面が凍結するアイスバーンではタイヤが太くともスリップしてしまうため,路面に噛みつくメタルの付いた「スパイクタイヤ」が必要です.

ディスクブレーキ

クロスバイクロードバイクにみられる「Vブレーキ」や「キャリパーブレ―キ」は,ホイールのリムをブレーキシューで挟み,摩擦で回転を止めます.

雪がリムに纏わりつくと,ブレーキの制動以前に車輪が回らなくなるようです.

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そこでディスクブレーキ.

ハブ付近はタイヤと離れているため,雪がくっつくことも少ない.

ついでにディスクブレーキは制動力が高いのもGoodです.

選ばれたのは

MASI GIRAMONDO 27.5 (2017年モデル) + Schwalbe ICE SPIKER PRO

これにリアキャリアとフォークキャリアを付けて,自転車は完成です.

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厳冬期の北海道,予想と実際

お財布事情も考えつつですが,できる限りの最善の装備を揃えて臨んだこの旅.

イメージしていた北海道旅と旅が終わった後の感想を列挙し比較してみます.

予想 実際
寒い 痛い
スパイクタイヤ履けば走れる 圧雪路の路肩が非常に走りにくい
- 車がこわい
走行中も防寒着が手放せない どんなに気温が低くても走っていると暑くなって薄着になる
夏の半分くらいの距離は走れる 内陸は雪深く距離が稼げないが,雪の少ない道東は走りやすい
夜はウィスキー飲めばどうにかなる 体温を無理やり上げた後の反動が怖くてあまり飲めない
セコマは神 セコマは神

最後に

温暖な気候の九州に住み,寒さと悪路を少し舐めていたなと思いました.

セコマは3年前の夏と変わらず神でした.

危険を伴うので決しておすすめはしませんが,厳冬期の北海道を走ってみたいという方は参考にしてみてください.

(吹雪いてなければ)雪景色はとてもきれいで幻想的です.

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厳冬期北海道一人旅part7

「ここはどこだろう」

暖かな布団,ふかふかの枕,適温に保たれた部屋,遠くから朝ごはんのかすかな香り.

何だろうか,この実家のような安心感は!

寒さや吹雪で目覚めることも,共用施設の一部を寝床として使わせていただく罪悪感もなく,ぐっすり眠れました.

寝坊から始まる厳冬期北海道一人旅,7日目の朝です.

プレゼント

寝坊したせいで朝日は高く昇ってしまい,予定していた日の出の撮影はできませんでしたが,昨日までの疲れはしっかりとれました.

電子機器の充電も十分です.

ラスト・ランに向けて準備万端.

念のため余分に買っておいたけれど使わなかったプリムスのガス缶は「次にやってきた旅人に渡してください」と民宿えびすやの奥さんに預けました.

缶類は帰りの飛行機に持ち込めないので,空港で捨てるよりも誰かに使ってもらう方がいい.

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出発しようとする私に,えびすやの奥さんは「ちょっと待ってね」と手編みの手袋をくれました.

「暖かくして,気を付けていってらっしゃい」と笑顔で見送ってもらい,最後の1日が始まります.

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民宿えびすや,ご飯も風呂も布団も最高な宿でした.

いつかまた.

日本本土四極制覇へ

最東端は約25km先.

納沙布岬に辿り着けば,日本本土の東西南北の端っこ全てに自転車で到達したことになります.

まだ見ぬこの旅の終着地点に胸が高鳴ります.

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毛糸の手袋,とてもあたたかい.

いつものように氷点下ですが,聞いていたほど風は強くないようです.

明日以降は猛吹雪の予報.嵐の前の静けさというやつでしょうか.

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手袋と一緒にお菓子までたくさんいただきました.

走りながらお菓子を食べつつ.

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最東端のセコマで買ったアイスを食べつつ進みます.

なんとこのアイス,ちんたら食べても溶けないんです!(当たり前)

大荷物を積んで走り火照った体に,冷たいアイスと氷点下の風が心地良い.

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交通量は少なく,路上の積雪もなく,とても走りやすい.

それでもいつ地吹雪が起きて立ち往生するか分からないので,常に警戒しながら走ります.

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最東端の郵便局.

この辺りでは全てのものに「最東端の」という接頭語がつけられそうです.

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最東端の風車.

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海の向こうには蜃気楼で大陸が出来上がっていました.

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岬に立つオーロラタワーが見えてきました.

納沙布岬はすぐそこです.

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「旅が終わってしまう」

そう思うと途端に淋しくなります.

朝晩は指が悴んで痛いし,夜は寝床に神経を遣うし,積雪の悪路に高速走行する車両は怖いし,不安に怯える毎日.

撮りたいだけ写真を撮り,その日に走れるだけ走り,何度も絶景を目の当たりにし,立ち寄った地の食堂やセコマやセコマやセコマで美味しいものをたらふく食べる,誰にも気を遣わなくて良い自由を謳歌した毎日.

ひとりぼっちで心細く,命の保証のない夜も越えながらも,今日明日何が起こるか分からないワクワクと自由だけを携えて走ってきました.

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「ああ,もう終わってしまうのか.」

最東端到達直後,達成感や歓喜より先に待っていたのは,この旅の終わりを惜しむ淋しさでした.

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この先っちょの左がオホーツク海,右が太平洋.

北方領土歯舞諸島のうち1つ「水晶島」が海の奥に見えます.

随分と遠くまで来たのだなと,今まで影を潜めていた達成感がじわじわとこみあげてきます.

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これにて日本本土四極制覇です!

閉店観光 in 納沙布岬

腹が減ったので,予めツーリングマップルで目星を付けていた最東端の鈴木食堂でさんま丼を.

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「ほ...ほう...?」

やってくれるじゃないか納沙布岬

(さんま丼を食べたいだけの人生でした.)

飯がだめなら観光を.

折角なので北方領土を上から眺めるべく,オーロラタワーへ.

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まあ,そんな日もありますよね.

次です,次.

ここ数年はステッカー集めにお熱なので,最東端ステッカーさえ買えれば良しです.

自転車のサイドバッグを彩るステッカーは見つかるでしょうか.

お土産屋さんへ.

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気分次第で閉店なさってました.

これでもかという自由っぷりに笑えてきてしまいます.

閉店3コンボ!

終業時間「その日の気分次第」.いいなあ.

ラスト・ラン

さんま丼は食べられませんでしたが,近くで開いていた「東灯」さんにて昆布ラーメンをいただきました.

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ラーメンというよりはうどんのダシに近い感じ.とても味わい深くてあたたかくておいしかった.

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ステッカーはとり逃しましたが,岬の公園内にある「北方館」にて最東端到達証明書を入手.

これにて日本本土四極踏破を証明できるモノが揃いました.

(ああ...ステッカー...)

思い残すことなく納沙布岬をあとにします.

ステッカーはまた次に到達した時にでも回収します.

さんま丼も食べ逃したので,きっとまた来ることになるでしょう.

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結氷したトーサムポロ沼.

相変わらず不思議で美しい景色が広がっています.

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大鷲に見送られて,納沙布をあとにします.

根室市街に戻り,名物のエスカロップをたべ,初のバス輪行で札幌へ向かいます.

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帰還

旅をすると,人のやさしさ・あたたかさが普段以上に身に沁みます.

「どうにか自分だけの力で」と一人で旅をしてみても,他の誰かとの繋がり感じずにはいられない.

結局のところ人は,人との繋がりの中でしか生きていけない生き物なのだと思います.

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旅の途中,運よく猛吹雪には遭遇しませんでしたが,私が自転車を降りたあとにやってきた爆弾低気圧が北海道全土を襲いました.

この猛吹雪で男性一名が命を落としています.

「この旅に命を懸ける覚悟はあるか?命を懸ける価値はあるか?」

北海道一日目に美瑛で出会ったTさんからのこの問いかけ.

確かに一生の思い出に残るような旅でした.それだけの価値がありました.だけれど,生きていればこそです.

他人事ではないニュースを見たあとに,軽率にYESと答えることはできません.

彼が私を止めようとしてくださった時の気持ちが少しわかった気がします.

このたった数日間のうちにたくさんの選択をしてここまで辿り着きました.

初の厳冬期北海道で一人,生きて無事に旅を終えられたのは他でもなく,旅先で出会った人々のお蔭でした.

夜行バスの中で生存報告と感謝を込めてTさんにメールを送り,翌々日の飛行機で九州へ.

新千歳空港は吹雪で一面真っ白.

殆どの便が強風と雪で欠航となる中,SKYMARKだけが1時間ほど滑走路で粘り,離陸してくれました.

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吹雪を抜けた飛行機の窓から見えた雲海と青空が,最初に見た美瑛の丘を思い出させてくれます.

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こんな真っ白な大地をずっと走ってきたんだ.

それももう随分昔のことのように思えます.

遠ざかってゆく北の大地に思いを馳せながら,ずっと雲の上に広がる雪原を眺めていました.

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雲の上からの素晴らしい夕暮れと共に,今回の旅は幕を閉じました.

次はどこへ行こうか.

学生生活は戻ってきませんが,また心躍る旅に出たいものです.

厳冬期北海道一人旅・おわり

厳冬期北海道一人旅part6

過酷な旅の末,彼は雪原に行き倒れてしまった.

誰にも看取られることなく静かに消えゆくひとつの命.

しかしその顔には満足そうな微笑みが浮かんでいた.

彼が最期に見た景色とは...

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尾岱沼の朝

午前4時,道の駅尾岱沼のトイレ館にて目覚め.

暖房付きのトイレ館なので,安心して眠れました.

意味深OPでしたが,私は無事です.(あとで回収します)

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海が厚い氷に覆われています.

ここ尾岱沼白鳥台は,野付半島と北海道本土に挟まれ結氷した野付湾を上から見下ろし,「四角い太陽」が見えやすいスポットとして知られています.

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今日も昨日と同様「四角い太陽」は見れませんでしたが,今朝は特に東の空のグラデーションが見事で,極寒の中ずっと見惚れていました.

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漁船と太陽.

海の街,早朝は船が多いです.

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身支度は日の出前に終わらせ,日が昇ってしまうまでひたすらシャッターを切り続けていました.

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今日も愛車が格好いい.

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アクションカムでタイムラプスも撮っていました.(画質悪いですがGIF埋め込みです)

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コーヒーセットは自転車に積んでしまったので,今朝は缶コーヒーで暖をとり出発です.

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真冬の蜃気楼

海岸線沿いを走り始めて違和感に気づきました.

進行方向,海の向こう遠くに船がたくさん浮かんでいるような.

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空飛ぶ漁船が現れたり消えたりしていました.

船がかなり遠かったのでただの黒い点に見えて,最初は何かの見間違いかと思っていました.

どうやら蜃気楼のようです.ラッキー.

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何気なく後ろを振り返ると

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家が浮いている...!

ここまで典型的な蜃気楼を肉眼で見たのは初めてかもしれません.

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家が浮いていたり船が浮いていたり,夢でも見ているみたいです.

オホーツク海サイクリング

蜃気楼が発生したり,ところどころ海が凍っていたり,オホーツク海の景色は不思議です.

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観飽きないのでちょこちょこ自転車を止めては写真を撮っていました.

波打ち際が眩しい.

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大鷲も海を眺めながら休憩中のようです.

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漁師が極寒の海に船を出していました.

間違えて海に落ちようものなら凍え死にそう.

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水面がキラキラと反射しないところは,どうやら凍っているようです.

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いかんいかん,ゆったりしすぎました.

今日はさすがに進まなければ.

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景色が次第に原野的になってゆきます.

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走り走って根室市に入りました.

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花咲ガニが有名な根室.看板にもカニが載っています.

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別海町根室市の町境を流れる風蓮川は凍結していました.

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何を思ったのか,原野をバックにヘルメットとアイウェアを撮影.

この時はまさか,これがアイウェアの遺影になってしまうとは思ってもみなかったのでした.

閉店芸

ツーリングマップルに載っていた牧場のレストラン.

マップルを見るに,尾岱沼~厚床区間で唯一のレストランのようです.(他にもあったらごめんなさい)

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なんとなく閉まっている気がしていた予感が的中.

いつものことなのでショックではありません.ほんとです.

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飯を食わねば倒れてしまうのでセコマへ.

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HOT SHEFのカツ丼は本当に美味しかった.

おすすめ.全力で推します.

牧場レストランが閉店してくれていたおかげで美味いカツ丼が食べれたので満足.

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青看板に終着点の納沙布岬を捉え,旅の終わりが近づいてきたのを感じます.

そして道の駅へ.

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おつかれさまでした~~~

雪原再び

晴天と閉店に恵まれた一日.

やることもないので道の駅スワン44ねむろの裏手,結氷した風連湖で遊びます.

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本当にいい天気です.

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昨日と同様,トリック写真も捗ります.

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根室

雪原ではしゃぎ過ぎた結果,OGKのアイウェアを失くしました.

フレーム以外透明なアイウェアなので,探せど探せど一向に見つかりません.

過激な雪遊びの末,アイウェアは雪原に埋もれてしまった.

誰にも看取られることなく静かに消えゆくひとつのアイウェア...

安くはなかったのでとても惜しいですが,諦めて雪原を去ることにしました.

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根室は野鳥の宝庫.道端に絶滅危惧種の鶴がいました.

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日が暮れる前に今日の宿へたどり着きたい.

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不思議な色の夕焼けです.

水面に浮かぶ氷塊は凍った川から流れてきたものなのか,5日前に根室に接岸した流氷の残骸なのか.

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最東端までの距離30km.

明日で旅が終わってしまう淋しさと,明日で日本本土4極踏破が叶うのだという高揚感に包まれる夕暮れ時.

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路肩の丘で群れている野生の鹿を眺めながら先を急ぎます.

まるで天然サファリパーク.

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民宿えびすや

なんと今晩,民宿泊です!!!

そんな贅沢していいのかと仰る?

昨晩モバイルバッテリが2つとも空っぽになってしまったから仕方がないのです.

スマホ・ミラーレス一眼・アクションカム×2・GPSサイコンと,この旅それなりに電力を消費します.

もともとは北見でネカフェ泊して充電する予定でした.

逆にここまでよく節約して耐えたというべきでしょう.

日はすっかり暮れ,今朝電話で予約しておいた根室駅前の民宿えびすやに到着.

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ああああ!!テレビだあああ!!!

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ああああ!!お布団だあああ!!!

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ああああ!!花咲ガニだああ!!!

こんなに贅沢してしまって罰は当たらないだろうか.そんなことを考えます.

部屋も暖かいし,こんな日は初日に美瑛でTさんに泊めていただいた時以来です.

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蟹も刺身も付いた一泊二食付きで約6000円.破格です.

根室の海産物を味わい尽くした晩餐,とても美味でした.

壁に飾ってある昔ご主人が撮影したという鹿の写真も素敵.

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連日満室だったため,今日は休もうかと思っていたところ「自転車できます」と電話がかかってきたので

「気を付けていらっしゃい」と勝手に口が動いていたというおかみさん.

その優しさに助けられました.

今夜はゆっくり休んで,明日は最東端踏破を目指します!!!

厳冬期北海道一人旅part5

この旅最長の走行距離となった4日目を経て,オホーツク海に面した街・標津に到着しました.

昨晩に引き続き,連続野宿.何日経ってもこの寒さには慣れません.

標津の朝

午前4時,アラームが鳴り響き起床.一人旅5日目の朝です.

朝食のパスタとおにぎりは凍って,口の中でシャリシャリと音をたてていました.

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冷凍食品をチンせずに食べている気分です.

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シュラフとエマージェンシーシートの間の結露した水滴も凍り,米粒サイズの氷がシュラフ外側にたくさん張り付いていました.

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テントの内側にもびっしりと氷の粉末がついていました.

シングルウォールテントは通気性が悪いため結露しやすいことが弱点ですが,テント内が氷点下になれば結露しても水滴が凍り付いてくれるので,濡れることもなく楽です.

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午前6時前,外がだんだんと明るくなってきました.

一日の中で最も寒く,最も美しい時間です.

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-15℃,手足の末端はロープで縛り付けられたかのように痛みます.

蜃気楼がつくりだす「四角い太陽」は見えるでしょうか.

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あああ...水平線に分厚い雲が...

こうなると四角い太陽は見ることができませんが,太陽の上が心なしか平べったくなっているような気がするのは気のせい?

もしかしたら雲の向こうで四角い太陽ができていたかもしれません.残念.

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真冬のオホーツク海から昇る朝日.

水平線のむこう,ごつごつしているのは流氷でしょうか.

四角い太陽は見れませんでしたが,きっと明日もチャンスがあります.

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凍った波打ち際に朝日が反射して宝石みたいです.

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約20分限りの,橙色の幻想的な世界に包まれ,指先の痛みも忘れてひたすらシャッターを切っていました.

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野付半島

買い出しセコマでいつものパスタと握り飯を買い出したら,荷物を積んで出発です.

今日は野付半島を往復し,いけるところまで走る予定です.

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野付半島唯一の道路を片道20km,往復40km走ります.

背後の知床連山も美しい.

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昨日までと違い,路面が乾いていてとても走りやすい道です.

野付半島は日本最大の砂嘴です.

砂嘴とは堆積した砂が沿岸流により運ばれた漂砂が静水域で堆積して形成される,くちばし形の地形のことです(Wikipediaより).

そんな砂の地形が全長28kmにわたって続くこの野付半島

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道路の片側は凍えるオホーツク海,反対側は結氷した野付湾,という不思議な風景がずっと続きます.

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北方領土国後島も間近に見えます.

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国後島は蜃気楼によって半分ほどが浮島になっていました.

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気温は氷点下なのに逃げ水が.

極寒の地上と強い日差しで温められたアスファルト面が成す温度差が逃げ水を生むようです.

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砂嘴を20km走った先にある野付半島ネイチャーセンターから見る氷平線は乾季のウユニ塩湖のようでした.

氷上はバスツアーの観光客で溢れかえっていました.

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流氷サイダーなるものがあったので購入.

数日前に4人組の自転車乗りがやってきたと,ネイチャーセンターの売店のおじさんから聞きました.

他にも真冬の北海道を走っている馬鹿チャレンジャーがいたんですね!

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ネイチャーセンターには野付半島の航空写真が飾られていました.

上は夏季の,下は冬季の野付半島

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結氷した野付湾の雄大さがひと目でわかります.

写真奥には流氷もはっきりと見えます.

どこまでもスケールが大きい,さすが北海道.

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ネイチャーセンターでひと休みしたところで,来た道を引き返します.

ワカサギ釣りをしている人を見かけたので自転車を降りて氷上を歩いていると,キタキツネに出会いました.

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バイバイ.

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せっかくの氷平線なので記念に写真を撮らねばと自転車を氷上におろしてみました.

氷が薄くなっている箇所もあり,こわかったのでかなり手前での撮影です.

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どこまでも真っ白な地面が続くので,遠近感が薄れてトリック写真が撮りやすくなります.

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はしゃいでジャンプしていますが,この辺りはかなり氷が薄く,冷や汗ものでした.

こんな写真撮ってはしゃいでいますが,一人旅.

近くに人が居ないので,記念撮影も全て一人で完結させます.

三脚にカメラを固定してタイマー連写しながら何度も飛び跳ね続ける若者と一面の雪景色が織りなす,シュールな光景がそこにはありました.(本人はとても楽しんでいます)

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記念写真撮影に満足して走り始めると,エゾシカが道路前方を横切っていきました.

広角レンズなので見えにくいですが,上の写真奥に小さく鹿が写っています.

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野付半島の往復も終わり,根室へ.いけるところまで走ります.

「いけるところまで」とはいえ,野付半島でのんびりし過ぎたので,それほど足を伸ばせそうにはありませんが.

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本土側から見る結氷した野付湾も雄大で,多くの人がワカサギ釣りをしていました.

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「牛蔵ふぁーむ ながの」にて少し遅めのお昼.

farm-nagano.jp

ここは潮彩牛の料理が味わえるとのことだったので,価格的に手が出せそうな丼ぶりを注文.

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遅めの昼食で腹ペコだったせいなのか,ただ単純にとても美味しい肉だったのか,旅から3か月以上経った今でも「とても美味しかった」という記憶と口の中に広がる味が鮮明に残っています.

食事が済んだ後はご主人と30分ほど話しました.

やはり道東,根室方面は風が強いし,JRはすぐに止まるそうです.

根室~札幌間は夜間の都市間バスが出ているから,安いしそれが確実だと,時刻表まで調べて勧めてくださいました.

帰り道は初のバス輪行になりそうです.

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腹を満たしたら近くの温泉,湯元尾岱沼温泉シーサイドホテルへ.

廊下には標津・別海の美しい写真が何枚も飾られていました.

蜃気楼が成す「お化け太陽」,圧巻でした.

露天風呂は,結氷した野付湾を一望できて絶景,タオルがバリバリに凍るほどに寒かったですが,いい湯でした.

このままホテルに泊まりたい気分.

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勿論そのままホテルに泊まる筈もなく,道の駅尾岱沼へ.

ホテルよりこっちの方が断然落ち着きます.(強がり)

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火を沸かして...

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いつも通りの晩飯です.

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冬季閉鎖しないトイレ館は,水道の凍結防止のため暖房が入っており,それなりに暖かいので,利用者の邪魔にならないようにひっそりと寝床を構えます.

今夜は命の心配をせずに済みそうです.

明日は遂に最東端の街・根室市街を目指します.

つづく.